人工透析、腎臓内科、外科
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血液透析に使用される透析液は非常にクリーンなものが求められます。その理由は、通常1回の透析に使用される透析液の量から考えても明らかです。
当院における透析液の使用量は患者さまの状態に合わせて変化させていますので、4時間の治療をする場合を例にとりますと、120リットルから多い場合は、168リットルの透析液を使用することになります。
これだけの量の透析液が血液と接することになりますので、少しの量の不純物といえども、長く治療を受けていただく間にその不純物が体内に入り込まないとも限りません。
そこで、当院ではクリーンな透析液を作成するために必要な様々な対策を講じております。
透析液作成用の水の源は上水道水になりますが、そのままでは様々な不純物が混っています。(飲料水としては問題ないレベルではありますが。)そこで、透析に使用できるレベルまでクリーンにするために、逆浸透装置(JWS社製 MX-E)を導入し、不純物のない透析用水を作成しています。
また、装置の配管内においても定期的に薬液による殺菌消毒を行い、細菌が入り込まないシステムを構築しております。
透析施設で透析液を作成する場合、粉末透析溶剤を装置に投入する際が一番落下細菌などによる暴露が起こりやすいといわれています。
いくら他の所でクリーンな操作を行っていても、粉末透析溶剤を投入するときに細菌が入り込んでいては意味がありません。そこで当院では日機装社製の半閉鎖式透析液自動溶解装置DAD-30を導入しました。
この装置は、粉末溶剤の入ったボトルを装置内で自動的に開封・溶解を行う装置ですので、溶剤開封時における落下細菌などによる暴露の危険性を減らしてくれます。
クリーンな状態で作成した透析液といえども、患者さまのベッドサイドまで届くまでにはある程度の距離が発生します。
そこで、透析液のクリーンな状態を維持するために、ベッドサイドに送る前にさらに、透析液をクリーンにするフィルターを通し、より清浄な透析を供給できるシステムとしています。
コンソールへ入って患者様に使用される透析液の清浄化の担保のため、さらに最終フィルターとしてコンソール用ETRFを治療に使用する透析用コンソール全てに装備しました。
個人用透析装置へRO水を供給するラインも、透析液の場合と同様にある程度の距離が発生します。そこで、個人用透析装置へ供給されるRO水においてもクリーンな状態を維持するために、ベッドサイドに送る前にさらに、RO水用ETRF(キャラクターU)を通し、より清浄なRO水を供給できるシステムとしています。
※ETRF(エンドトキシン捕捉フィルター):
透析液をより清浄なものにするために取り付けられている微粒子捕捉(微粒子除去)
フィルターのこと
透析液の品質を管理するために、各所での透析液のエンドトキシン濃度、細菌の培養を定期的に行い、その際のデータの管理と分析評価を絶えず行っています。
透析液の清浄化を確保するため、透析機器安全管理委員会を設置し、委員会において作成した管理計画に基づき、透析液製造ラインの水質管理を行っています。なお、水質については、日本透析医学会学術委員会による「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準」を準拠しており、透析液の水質確保に関する要件を満たしていることを兵庫県から認可されています。
エンドトキシン濃度を「比濁時間分析法」により測定する装置。比濁時間分析法とは、透析液と試薬の反応によりエンドトキシンによって生じる濁りを光の透過量としてとらえ、一定の値なるまでの時間を測定することによりエンドトキシン濃度を測定する方法のことをいいます。
当院の透析液エンドトキシン濃度は、検出感度以下にコントロールされています。
膜濾過法とよばれる方法で細菌を培養するポール社製のクオリティーモニターを採用しています。
当院の透析液の生菌数(培養数)は0.1CFU/ml未満に保たれています。
※透析液水質基準
(透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準より抜粋)
生物学的汚染基準の到達点
●透析用水
細菌数100CFU/mL 未満 ET 0.050EU/mL 未満
●標準透析液(standard dialysis fluid)
細菌数100CFU/mL 未満 ET 0.050EU/mL 未満
●超純粋透析液 (ultra-pure dialysis fluid)
細菌数 0.1CFU/mL 未満 ET 0.001EU/mL 未満
(測定感度未満)